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98話 立ち向かう勇気

Auteur: ニゲル
last update Dernière mise à jour: 2025-07-08 07:44:59

"キュアチェンジ"そう奴が唱えると辺りに水の塊が出現する。いや水ではない。弾力性のあるまるでゼリーのような球体だ。

それらがいつまにか人間の姿に戻り、中性的な私達とは少し違う衣装を身に纏った奴に張り付いていく。全身にゼリーの塊をくっつけたキュアヒーローがそこに誕生する。

「お前らのセンスに合わせるなら……キュアゼリーと言ったところか? 画面の向こうで見てる奴らも覚えとくんだな。これがお前らの希望を打ち砕く者の名前だ」

異質な空気が流れる。明らかに辺り一帯の雰囲気が変わった。張り詰め息苦しいものになる。まるで水に沈められたように。

「まさかそれって……」

奴はこの前波風ちゃんのブローチを剥ぎ取っている。そして自分達用に改造したのだろう。それは彼女の死をさらに踏み躙る行為で、私はそれがたまらなく許せなかった。

「オレもあいつらの真似でもしてみるか……」

奴は横にグッと手を伸ばす。そして全身から灰が溢れ右手に集まっていき、灰が泡立ち固形を成して命を刈る鎌へと変貌する。

「来る! みんな気をつけ……」

何をしてくるか読めないので一旦受けに回り構えようとした。だが奴の身体能力は私達の反応速度の更に上をいっており、距離があったのに奴が振り下ろした鎌を銃で受け止めるのがやっとだ。

「ぐっ……強い……!!」

イクテュスの力にキュアヒーローの力が上乗せされており、抑えることはできず段々と押されていく。

「こっちも無視しないでもらえるかな!!」

奴が私に気を取られている内に横からノーブルが突きを放ち、敢えて少し間を空けて逆サイドからアナテマも斧を振り下ろした奴の頭をかち割ろうとする。

「ふん……」

てっきり退くかと思ったが奴は私への攻撃をやめず、両サイドからの攻撃に対して少し体をズラす。ぷるんとゼリーの部分に刃物が当たり、武器はその弾力を突破できず滑り弾かれる。

「はぁっ!!」

そして二人の腕を掴みそれぞれの腹部に膝をめり込ませる。下手をしたら内臓にダメージが入ってしまうかもしれないほどのめり込み具合だ。

「二人と……」

一撃で膝を突かされた二人に一瞬注意がいってしまい、奴にほんの些細な隙を見せてしまう。

「隙ありだ……!!」

そして奴の鎌が一気に振り下ろされ、力負けし攻撃が私の胸を捉える。途端に視界いっぱいに広がる
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